薄毛の原因として「ストレス」が挙げられることは一般的ですが、そのストレスが極限に達した時、抜け毛は単なる身体症状を超えて、心のSOSとなることがあります。もしあなたが、無意識のうちに自分の髪の毛を指でいじり、プチっと抜いてしまう癖があるなら、それは「抜毛症(トリコチロマニア)」という精神疾患の可能性があります。この場合、行くべき場所は皮膚科やAGAクリニックではありません。「心療内科」や「精神科」です。抜毛症は、不安や緊張、イライラなどの不快な感情を、髪を抜くという行為によって一時的に解消しようとする衝動制御障害の一種です。皮膚科で頭皮に薬を塗っても、抜いてしまうという根本的な行動を止めない限り、髪が生え揃うことはありません。この場合、必要なのは育毛剤ではなく、ストレスの原因となっている環境の調整や、行動療法、カウンセリング、場合によっては抗不安薬などによる治療です。 また、自分で抜いていなくても、強烈なショックや慢性的なストレスによって自律神経が乱れ、急激に円形脱毛症が多発したり、全体的に髪が抜け落ちたりすることもあります。このような「神経性脱毛症」とも呼べる状態の場合も、身体的なアプローチだけでは不十分なことがあります。心と体は繋がっています。心が悲鳴を上げているのに、髪の毛だけを治そうとしても無理があります。もし、抜け毛と同時に不眠や食欲不振、気分の落ち込みなどを感じているなら、まずは心のケアを優先してください。心療内科を受診することに抵抗があるかもしれませんが、最近では「メンタルクリニック」といった名称で、カフェのような雰囲気で通いやすい病院も増えています。ストレスの根源に対処し、心が健康を取り戻せば、自然と自律神経やホルモンバランスが整い、髪もまた健やかに育つ準備が整います。薄毛はあくまで結果であり、原因が心にあるのなら、心を癒やすことが最良の育毛治療になるのです。自分一人で抱え込まず、心の専門家を頼る選択肢も持っておいてください。