10代や20代といった若い年齢で薄毛（若ハゲ）の症状が現れた場合、その原因が「遺伝」なのか、それとも「生活習慣」なのか、気になる方も多いでしょう。結論から言うと、若ハゲの原因は、多くの場合、遺伝的要因と生活習慣的要因の両方が複雑に絡み合っていると考えられます。まず、遺伝的要因についてです。男性の薄毛の主な原因であるAGA（男性型脱毛症）は、遺伝的素因が強く関与していることが分かっています。具体的には、男性ホルモンレセプターの感受性の高さや、5αリダクターゼという酵素の活性の強さなどが遺伝によって受け継がれると、AGAを発症しやすくなります。これらの遺伝的素因を持っている場合、10代後半や20代前半といった比較的若い時期から、AGAの症状（生え際の後退、頭頂部の薄毛など）が現れ始めることがあります。家族に薄毛の人がいる場合は、この遺伝的要因を考慮に入れる必要があります。次に、生活習慣的要因です。たとえ遺伝的な素因があったとしても、あるいはなくても、不健康な生活習慣は薄毛を助長する大きな原因となります。* 食生活の乱れ：ファストフードやインスタント食品の多用、偏食、過度なダイエットなどは、髪の成長に必要なタンパク質、ビタミン、ミネラルの不足を招きます。* 睡眠不足：成長ホルモンの分泌を妨げ、髪の成長と修復を阻害します。* ストレス：自律神経のバランスを乱し、頭皮の血行不良やホルモンバランスの乱れを引き起こします。* 誤ったヘアケア：洗浄力の強すぎるシャンプー、不十分なすすぎ、頻繁なカラーリングやパーマなども、頭皮環境を悪化させます。これらの生活習慣的要因は、遺伝的素因を持つ人のAGAの進行を早めたり、遺伝的素因がそれほど強くない人でも、頭皮環境の悪化を通じて薄毛を引き起こしたりする可能性があります。つまり、若ハゲの原因を「遺伝だけ」「生活習慣だけ」と単純に切り分けることは難しく、多くの場合、両者が影響し合っているのです。大切なのは、遺伝的要因の有無に関わらず、まずは改善可能な生活習慣を見直し、頭皮環境を整えることです。そして、症状が気になる場合は、専門医に相談し、適切な診断とアドバイスを受けることが重要です。