薄毛や「はげ」の悩みで皮膚科を受診した場合、どのような治療が行われ、保険は適用されるのか、そして治療期間はどのくらいかかるのか、気になる方も多いでしょう。まず、皮膚科での薄毛治療は、その原因によって保険適用の可否や治療内容、期間が大きく異なります。もし、薄毛の原因が「AGA(男性型脱毛症)」や「FAGA(女性男性型脱毛症)」といった、主に美容的な側面が強いと判断される場合は、治療は基本的に自由診療となり、健康保険は適用されません。この場合、内服薬(フィナステリド、デュタステリド ※男性の場合、スピロノラクトンなど ※女性の場合)や外用薬(ミノキシジルなど)の処方、あるいは注入治療(メソセラピー)などが検討されますが、これらの費用は全額自己負担となります。治療期間の目安としては、効果を実感するまでに最低でも3ヶ月から6ヶ月、より明確な改善を目指す場合は1年以上の継続が必要となることが一般的です。そして、効果を維持するためには、その後も治療を継続する必要があります。一方で、薄毛の原因が特定の「皮膚疾患」や「内科的疾患」であると診断された場合は、その原疾患の治療に対して健康保険が適用されることがあります。例えば、「脂漏性皮膚炎」や「接触皮膚炎」といった頭皮の炎症が原因で抜け毛が増えている場合は、抗炎症薬や抗真菌薬などの外用薬が保険診療で処方されます。治療期間は、症状の程度にもよりますが、数週間から数ヶ月程度で改善が見られることが多いです。「円形脱毛症」も、ステロイド外用薬や局所免疫療法など、一部の治療法は保険適用となります。治療期間は、単発性の場合は数ヶ月で治癒することもあれば、多発性や全頭型の場合は1年以上の長期にわたることもあります。「鉄欠乏性貧血」や「甲状腺機能の異常」などが原因で薄毛が起きている場合は、まずこれらの内科的疾患の治療が優先され、鉄剤や甲状腺ホルモン剤などが保険診療で処方されます。原疾患が改善すれば、それに伴って薄毛の症状も改善することが期待できます。このように、皮膚科での「はげ治療」は、原因によってアプローチが大きく異なります。自己判断せずに、まずは皮膚科医に相談し、正確な診断を受けることが、適切な治療への第一歩となります。