女性の薄毛、病院での治療は男性とどう違う?

女性の薄毛は、男性の薄毛(主にAGA:男性型脱毛症)とは原因や症状の現れ方が異なる場合が多く、そのため病院での治療法も男性とは異なるアプローチが取られます。まず、診断において、女性の場合はより多角的な視点からの原因究明が重要となります。男性の薄毛の多くはAGAが原因ですが、女性の場合は、ホルモンバランスの乱れ(妊娠・出産、更年期など)、びまん性脱毛症、FAGA(女性男性型脱毛症)、牽引性脱毛症、甲状腺機能の異常、鉄欠乏性貧血、ストレス、栄養不足、生活習慣の乱れなど、非常に多くの要因が考えられます。そのため、問診や視診に加え、血液検査でホルモン値や栄養状態などを詳しく調べることが、男性以上に重要となる場合があります。治療薬の選択も異なります。男性のAGA治療の代表的な内服薬である「フィナステリド」や「デュタステリド」は、胎児への影響のリスクがあるため、原則として女性には用いられません。女性の薄毛治療に用いられる代表的な外用薬としては、「ミノキシジル」があります。ミノキシジルは頭皮の血行を促進し、毛母細胞を活性化させることで発毛を促す効果が期待できます。女性の場合は、男性よりも低濃度(主に1%)のものが推奨されることが一般的です。内服薬としては、医師の判断により、「スピロノラクトン」が処方されることがあります。これは利尿薬の一種ですが、抗アンドロゲン作用(男性ホルモンの働きを抑える作用)も持っており、FAGAのように男性ホルモンの影響が考えられる場合に有効とされています。ただし、副作用のリスクもあるため、慎重な処方と経過観察が必要です。また、「パントガール」に代表されるような、毛髪の成長に必要な栄養素を補給する目的の内服薬(サプリメントに近い位置づけのものも含む)も、特にびまん性脱毛症の場合などに用いられます。さらに、女性の薄毛治療では、薬物療法だけでなく、「生活習慣の改善指導」や「栄養指導」、「ストレスケア」といった、より包括的なアプローチが重視される傾向があります。ホルモンバランスを整えるための指導や、鉄分や亜鉛などのサプリメントの推奨なども行われます。このように、女性の薄毛治療は、男性とは異なるきめ細やかな配慮と、多角的なアプローチが必要となります。皮膚科や女性の薄毛治療を専門とするクリニックを受診し、医師による正確な診断と適切な治療を受けることが大切です。

カテゴリー: AGA