高校生の頃から、なんとなくおでこが広いのがコンプレックスでした。でも、20歳を過ぎたあたりから、特にこめかみの部分、いわゆるM字の部分が少しずつ後退してきているような気がして、だんだんと深刻に悩むようになりました。「まだ20代なのに、このままハゲてしまうの?」と、鏡を見るたびにため息をつき、人の視線が自分の生え際に集まっているような気がして、自信をなくしていました。ポニーテールをすると、生え際が目立つのが嫌で、いつも前髪で隠すような髪型ばかり。風が吹く日は特に憂鬱でした。最初に試したのは、市販の育毛剤や美容液でした。毎晩欠かさずケアをしましたが、正直なところ、目に見えるほどの効果は感じられませんでした。次に、生活習慣を見直そうと思い、食生活の改善と睡眠時間の確保を心がけました。それまでは不規則な生活で、外食も多かったのですが、野菜やタンパク質を意識して摂るようにし、できるだけ自炊をしました。夜更かしもやめ、毎日7時間以上は寝るようにしました。これを続けて数ヶ月経った頃、髪全体に少しハリが出てきたような気がしましたが、やはり生え際の後退が止まることはありませんでした。もうダメなのかな、と諦めかけていた時、思い切って女性の薄毛治療を専門とするクリニックのカウンセリングを受けてみることにしたのです。医師の診断は、FAGA(女性男性型脱毛症)の初期段階と、牽引性脱毛症の併発の可能性でした。長年続けていたきついポニーテールが生え際に負担をかけていたこと、そしてホルモンバランスの影響もあるとのことでした。治療としては、まず髪型をできるだけ生え際に負担のかからないものに変えること、そしてミノキシジルの外用薬を開始することになりました。最初は副作用などが心配でしたが、医師が丁寧に説明してくれ、安心して治療を始めることができました。治療を始めて半年ほど経った頃から、少しずつですが、生え際に細い産毛が生えてきているのに気づきました。そして1年後には、その産毛が太く濃くなり、以前よりもM字部分が目立たなくなってきたのです。完全に元通りになったわけではありませんが、何よりも悩みが軽減され、自信を持って前髪を上げられるようになったことが一番の喜びです。諦めずに専門医に相談して本当に良かったと思っています。